従業員が社用車で事故を起こした際に会社が対応すべきこととは
社用車で事故を起こした場合、会社はどのように対応するべきでしょうか。
今回は、従業員が社用車で事故を起こした際に会社が対応すべきことについて解説していきたいと思います。
会社の取るべき対応について
従業員から事故の報告を受けた際、会社は状況を把握し、必要な手続きを確実に進める必要があります。
具体的には以下のような対応が必要となります。
- 事故の状況確認
- 保険会社へ連絡
- 被害者に対する謝罪
- 従業員に対するしかるべき処分
それぞれ確認していきたいと思います。
事故の状況確認
事故の報告を受けたら、会社は事故の詳細を確認し、従業員に具体的な指示を出す必要があります。
事故直後は従業員も混乱していることもあるため、従業員が次に取るべき行動を速やかに指示する必要があります。
状況に応じて、現場にとどまるべきか、治療を受けるべきかなど、従業員の安全確保にも配慮した指示出しが必要です。
事故の状況によっては、従業員が負傷し、自身で事故対応を進められない場合もありますので、管理者などが現場に駆けつけ、従業員に代わって事故対応を行うことも必要かもしれません。
保険会社へ連絡
事故が発生した際は、速やかに会社が契約している保険会社へ連絡し、事故の詳細を報告する必要があります。
対人事故の場合は、事故発生日から60日以内に書面による通知をしないと、保険金が支払われないという特則が設けられている場合がありますので注意が必要です。
被害者に対する謝罪
従業員が起こした事故で従業員に過失があった場合、業務中の事故に関しては、会社にも一定の責任があります。
そのため、会社としても被害者に対する謝罪などの対応が必要な可能性があります。
不誠実な対応をしてしまうと、会社の社会的評価も低下するおそれがありますので、誠実な対応が必要となります。
従業員に対するしかるべき処分
事故を起こした従業員には、刑事上および行政上の処分が下される可能性がありますが、会社としても事故の経緯や状況によっては懲戒処分を検討する必要があります。
懲戒処分には、戒告、けん責、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇などさまざまな種類が定められていますが、事故の経緯や状況の程度に比べて重すぎる処分を選択してしまうと、懲戒権の濫用として違法となるおそれもありますので注意が必要です。
まとめ
今回は、従業員が社用車で事故を起こした際に会社が対応すべきことについて確認していきました。
社用車による事故が発生した場合には、事故の当事者である従業員だけでなく、会社にも一定の責任が生じる可能性があります。
事故が発生した際には、会社として適切な対応が求められますので、専門的な知識をもつ弁護士に相談することを検討してみてください。
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弁護士紹介

原 武之Takeyuki Hara
弁護士登録後から労務問題と倒産問題を中心に扱ってきましたが、どんな時にも意識するのは、受動的に対応するのではなく、主体的に積極的に対応していくことであると思っています。
問題が発生してから動くのではなく、問題発生を予見し、依頼者の方が目指す方向に向けて解決策をどこまで提示することができるか、それを常に自問して業務を行っています。
- 所属
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- 愛知県弁護士会
- 経歴
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- 兵庫県西宮市出身
- 兵庫県私立滝川高校卒業
- 平成12年 早稲田大学法学部卒業
- 平成15年 弁護士登録(56期 第二東京弁護士会)
- 森・濱田松本法律事務所入所
- 平成18年 川上法律事務所移籍独立(愛知県弁護士会に登録換え)
- 平成21年 川上・原法律事務所に名称変更
- 平成29年2月 オリンピア法律事務所 パートナー
事務所概要
弁護士 | 原 武之(はら たけゆき) |
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所属事務所 | オリンピア法律事務所 |
所在地 | 〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内1-17-19 キリックス丸の内ビル5F |
連絡先 | TEL:052-201-7728 / FAX:052-201-7729 |
対応時間 | 平日 9:00~18:00 |
定休日 | 土・日・祝日 |