パワハラによる社員の退職は自己都合?会社都合?
パワハラによる退職は会社都合になる場合があります。
この記事では「自己都合と会社都合で退職した場合の違い」や「パワハラによる退職を会社都合にする方法」などを解説します。
パワハラとは
パワハラとはパワーハラスメントの略で、職場における有利な立場を利用して嫌がらせをすることです。
みんなの前でどなったり、通常の範囲を超えて仕事を押し付けたりする精神的な攻撃と、暴力などの身体的な攻撃があります。
自己都合退社と会社都合退社の失業給付金の違い
自己都合退職の場合、失業給付金開始日は原則として離職した日の翌日から2ヶ月と7日以降、給付日数は約3ヶ月~4ヶ月です。
会社都合退社の場合、失業給付金開始日は原則として離職した日の翌日から7日以降、給付日数は約3ヶ月~10ヶ月になります 。
基本的には、自己都合より会社都合で辞める方が給付期間が長くなるため、失業給付金を多くもらえます。
パワハラによる社員の退職は自己都合?会社都合?
パワハラによる社員の退職は、社員から「退職したい」と言い出すため、自己都合と思われやすいです。
しかし、社内で起きたパワハラによって会社を辞めざるを得なかったとみなされれば、会社都合での退社が可能です。
パワハラを立証する方法
パワハラによる退職を会社都合にするためには、会社に「パワハラがあった」と認めてもらう必要があります。
そのために、証拠を集めたり外部に頼ったりして立証することが重要です。
詳しく解説します。
パワハラの証拠を集める
会社でパワハラがあったと認めてもらうために、証拠を集める必要があります。
証拠となるものの例は以下の通りです。
- ボイスレコーダーなどの音声データ
- LINEやメール、SNSでのやりとり
- 同僚の証言
- 受けた状況のメモや日記
- ビデオや動画
- 医師の診断書
外部に頼る
パワハラを受けていた証拠がなかなかそろわない場合、外部に頼ることをおすすめします。
会社の所在地を管轄している労働基準監督署や労働局内に設置されている「総合労働相談コーナー」では、電話や面談で相談が可能です。
パワハラの実態調査を行い、対応してくれます。
また、弁護士に相談すると、パワハラがあったことを立証できるようアドバイスも受けられます。
パワハラは不法行為といって、人権や法律上で保護されている権利を侵害する行為です。
弁護士に相談をすれば、精神的苦痛などを理由に慰謝料を請求できる可能性があります。
悪質なパワハラによって、大きな精神的苦痛を受けたり人権を脅かされたりしたときは、慰謝料請求のために弁護士に相談・依頼することも検討しましょう。
まとめ
パワハラによる退職は、会社都合にできる可能性があります。
会社都合で退社するには、会社でパワハラがあったと認めてもらう必要があります。
証拠を集めたり、会社と交渉したりするには、多くの時間と労力が求められるため、慰謝料請求も視野に入れて弁護士など専門家に相談するのがおすすめです。
当事務所が提供する基礎知識
-
パワハラによる社員の...
パワハラによる退職は会社都合になる場合があります。この記事では「自己都合と会社都合で退職した場合の違い」や「パワハラによる退職を会社都合にする方法」などを解説します。パワハラとはパワハラとはパワーハラスメントの略で、職場 […]
-
懲戒解雇における不当...
懲戒解雇は正当な理由がなければ行うことができません。懲戒解雇の理由には、業務上横領、業務命令拒否、無断欠勤、ハラスメント、経歴詐称などがあります。これらの理由に該当しない懲戒解雇は不当解雇に当たるおそれがあります。&nb […]
-
労働・労務問題のトラ...
労働・労務トラブルは従業員を失ったり、トラブル解決のために多くのコストがかかったり、訴訟や風評被害にまで発展するおそれがあります。したがって、これらを未然に防ぐことが重要になります。代表的な方法としては労働条件を事前に明 […]
-
体調不良(メンタルヘ...
ストレスからうつ病などの病気に罹患し、メンタルヘルス不調に陥った労働者は、休職を検討することが多く存在します。休職には、法律上の規定が存在しないため、就業規則に規定を設ける必要があります。具体的な規定に関しては、対象の社 […]
-
管理監督者とは?要件...
労働基準法上、労働者の「労働時間」「休憩」「休日」に関する規定があり、労働者は保護されています。 具体的には、労働者は1日当たり8時間、1週間当たり40時間の労働が法定されており、これを超えて働くこと(使用者が働かせるこ […]
-
労災事故による損害賠...
労働災害によって負傷したり、疾病にかかった場合、労災保険給付を申請することによって、労働者は損害を補填してもらうことができます。これと並行して労働者は使用者に対する損害賠償請求も並行して行うことができます。一方、使用者は […]
よく検索されるキーワード
弁護士紹介
原 武之Takeyuki Hara
弁護士登録後から労務問題と倒産問題を中心に扱ってきましたが、どんな時にも意識するのは、受動的に対応するのではなく、主体的に積極的に対応していくことであると思っています。
問題が発生してから動くのではなく、問題発生を予見し、依頼者の方が目指す方向に向けて解決策をどこまで提示することができるか、それを常に自問して業務を行っています。
- 所属
-
- 愛知県弁護士会
- 経歴
-
- 兵庫県西宮市出身
- 兵庫県私立滝川高校卒業
- 平成12年 早稲田大学法学部卒業
- 平成15年 弁護士登録(56期 第二東京弁護士会)
- 森・濱田松本法律事務所入所
- 平成18年 川上法律事務所移籍独立(愛知県弁護士会に登録換え)
- 平成21年 川上・原法律事務所に名称変更
- 平成29年2月 オリンピア法律事務所 パートナー
事務所概要
| 弁護士 | 原 武之(はら たけゆき) |
|---|---|
| 所属事務所 | オリンピア法律事務所 |
| 所在地 | 〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内1-17-19 キリックス丸の内ビル5F |
| 連絡先 | TEL:052-201-7728 / FAX:052-201-7729 |
| 対応時間 | 平日 9:00~18:00 |
| 定休日 | 土・日・祝日 |
