【弁護士が解説】労働審判は会社側が不利と言われる理由
従業員との間でトラブルが発生すると、会社の経営に大きな影響を及ぼすことがあります。
労働審判は従業員とのトラブル解決に向けた手続きです。
本記事は労働審判の概要と、会社側が不利と言われる理由について解説します。
会社側が不利と言われる理由
労働審判ではなぜ会社側が不利に立たされることが多いのか、理由を確認していきましょう。
証拠が労働者側に有利になりやすい
労働審判において、もっとも重要なのは証拠です。
労働者が不当解雇や賃金未払いを主張する場合、労働者側には給与明細や雇用契約書など、証拠として有力な書類があります。
一方、会社側は日常業務に追われる中で、従業員とのやり取りや労働条件の変更に関する記録が不十分であることが少なくありません。
証拠が不十分な場合、会社側が不利になる可能性が高まります。
労働者の立場が保護される傾向にある
日本の労働法は、労働者を保護する立場を基本としており、労働者に有利な判決が出ることが多いです。
特に、解雇に関する問題や賃金未払いの問題では、裁判所や審判員が労働者側の権利を強く保護する姿勢を示す傾向にあります。
労働者側が提出する主張が認められやすく、結果的に会社側が不利になる可能性があります。
審判員の判断基準
労働審判を担当する審判員は労働法に詳しい専門家ですが、会社よりも労働者側の権利を重視する傾向にあるため、審判員は会社側の言い分よりも労働者側の立場を優先して判断を下す場合があります。
労働者の生活基盤を守るための社会的な流れとも関連しており、会社側が予想以上に不利な判決を受ける要因です。
事前の交渉が不十分な場合が多い
労働審判は、基本的に裁判の前に行われる事前の解決手段です。
しかし、企業側は問題が大きくなる前に適切な対処をしていない場合が多く、訴訟に至る前に解決策を見つけることが難しい場合があります。
労働者側がすでに抱えている不満を、審判で解消するために話が進むため会社側が不利になることがあります。
まとめ
今回は労働審判において会社側が不利と言われる理由について解説しました。
労働審判は、労働者と会社の間で発生するトラブルを解決するための重要な手続きですが、会社側が不利になるケースも少なくありません。
会社側のリスクを最小限に抑えるために、弁護士に相談することをおすすめします。
当事務所が提供する基礎知識
-
【弁護士が解説】労働...
従業員との間でトラブルが発生すると、会社の経営に大きな影響を及ぼすことがあります。労働審判は従業員とのトラブル解決に向けた手続きです。本記事は労働審判の概要と、会社側が不利と言われる理由について解説します。会社側が不利と […]
-
服務規律の作成ポイン...
服務規律を従業員に守らせることは、組織内での秩序を維持するために重要です。本記事では、服務規律の作成ポイントと違反をした従業員に対する適切な対処法について解説します。服務規律の作成ポイント服務規律を作成するポイントを確認 […]
-
【企業向け】みなし残...
みなし残業制度は従業員の月間残業時間にかかわらず、一定の残業代を固定で支給する制度です。導入を検討する際は制度に関する正しい理解が必要です。本記事では企業向けに、みなし残業制度を導入するメリットとデメリットについて解説し […]
-
普通解雇が可能な場合
普通解雇とは、懲戒解雇以外の解雇を指し、従業員の病気や能力不足、協調性の欠如、就業規則違反、余剰人員の整理の必要性等の理由で行われる解雇をいいます。公務員においては普通解雇ではなく、分限処分あるいは分限免職といいます。& […]
-
セクハラが起きた場合...
会社内においてセクハラが発生した場合、使用者は債務不履行責任や使用者責任が求められる可能性があります。 (1)会社に債務不履行責任が認められる場合職場がセクハラに対して適切な措置や対応をおこなっていた場合、職場 […]
-
会社側がとるべきパワ...
■パワーハラスメント(パワハラ)とはパワーハラスメント(パワハラ)とは、主に会社での地位の差を利用したいじめや嫌がらせのことで、上司から部下への嫌がらせなどがこれにあたります。 パワハラの定義は広義にわたります […]
よく検索されるキーワード
弁護士紹介

原 武之Takeyuki Hara
弁護士登録後から労務問題と倒産問題を中心に扱ってきましたが、どんな時にも意識するのは、受動的に対応するのではなく、主体的に積極的に対応していくことであると思っています。
問題が発生してから動くのではなく、問題発生を予見し、依頼者の方が目指す方向に向けて解決策をどこまで提示することができるか、それを常に自問して業務を行っています。
- 所属
-
- 愛知県弁護士会
- 経歴
-
- 兵庫県西宮市出身
- 兵庫県私立滝川高校卒業
- 平成12年 早稲田大学法学部卒業
- 平成15年 弁護士登録(56期 第二東京弁護士会)
- 森・濱田松本法律事務所入所
- 平成18年 川上法律事務所移籍独立(愛知県弁護士会に登録換え)
- 平成21年 川上・原法律事務所に名称変更
- 平成29年2月 オリンピア法律事務所 パートナー
事務所概要
弁護士 | 原 武之(はら たけゆき) |
---|---|
所属事務所 | オリンピア法律事務所 |
所在地 | 〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内1-17-19 キリックス丸の内ビル5F |
連絡先 | TEL:052-201-7728 / FAX:052-201-7729 |
対応時間 | 平日 9:00~18:00 |
定休日 | 土・日・祝日 |