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【企業側向け】定年後の再雇用を拒否することは可能?

定年後の再雇用を拒否することは原則としてできません。

この記事では「なぜ定年後の再雇用を拒否できないのか」「定年後の再雇用を拒否できるケース」などをご紹介します。

定年後の再雇用とは

定年後の再雇用とは、定年退職した社員が会社と再度雇用契約を結ぶことです。

以前は労使協定で定めた基準により再契約できる社員は限定されていましたが、2013年の高年齢者雇用安定法の改正以降、希望者全員が対象になりました。

定年後の再雇用を拒否することは原則として不可

定年後の再雇用を拒否することは原則としてできません。

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用確保措置)の第91項に、以下が定められているからです。

 

定年(65歳未満のものに限る)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、一 当該定年の引上げ、二 継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう)の導入、三 当該定年の定めの廃止のいずれかを講じなければならない

引用元:e-Gov 法令検索

 

定年退職を65歳未満にしている会社の場合、定年退職した社員が会社と再度雇用契約を結びたいと申し出たときに、拒否することは原則として違法です。 

定年後の再雇用を拒否する場合、損害賠償を請求される可能性もありますので注意が必要です。

定年後の再雇用を拒否できるケース

定年後の再雇用を拒否できるケースをご紹介します。

健康上に問題がある

健康上に問題があり業務ができないと判断された場合、再雇用を拒否できます。

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用確保措置)第93項に、以下と定められているからです。

 

厚生労働大臣は、事業主が講ずべき高年齢者雇用確保措置の実施および運用(心身の故障のため業務の遂行に堪えない者等の継続雇用制度における取扱いを含む)に関する指針を定めるものとする

引用元:e-Gov 法令検索

解雇事由や退職事由に相当する場合

業務命令に背く態度や職務中の態度に問題がある従業員に、会社から何度も注意をしたにもかかわらず従わない場合、減給処分戒告処分などを行います。

それでも業務命令に従わない場合には、解雇事由や退職事由に相当すると判断され再雇用を拒否できる可能性があります。

労働条件に合意しなかった

定年後の再雇用は、定年前と同じ条件で働けるわけではありません。

仕事内容や勤務時間、賃金などの変化があります。

会社側が雇用形態や条件を提示しても、社員が拒否した場合は原則として再雇用を拒否できます。

まとめ

定年後の再雇用を拒否することは原則としてできません。

しかし、社員の健康に問題があったり、労働条件に合意しなかったりした場合は再雇用を拒否できます。

定年後の再雇用を拒否できるのかお困りの場合、弁護士などの専門家に相談するのがおすすめです。

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原 武之Takeyuki Hara

弁護士登録後から労務問題と倒産問題を中心に扱ってきましたが、どんな時にも意識するのは、受動的に対応するのではなく、主体的に積極的に対応していくことであると思っています。

問題が発生してから動くのではなく、問題発生を予見し、依頼者の方が目指す方向に向けて解決策をどこまで提示することができるか、それを常に自問して業務を行っています。

所属
  • 愛知県弁護士会
経歴
  • 兵庫県西宮市出身
  • 兵庫県私立滝川高校卒業
  • 平成12年 早稲田大学法学部卒業
  • 平成15年 弁護士登録(56期 第二東京弁護士会)
  • 森・濱田松本法律事務所入所
  • 平成18年 川上法律事務所移籍独立(愛知県弁護士会に登録換え)
  • 平成21年 川上・原法律事務所に名称変更
  • 平成29年2月 オリンピア法律事務所 パートナー

事務所概要

弁護士 原 武之(はら たけゆき)
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